リイ・シュシュのすべて (2001)


CAST

市原隼人、忍成修吾、蒼井 優、伊藤 歩、勝地 涼、五十嵐迅人、郭 智博、田中丈資、土倉有貴、南イサム、細山田隆人、松田一沙、笠原秀幸、内野謙太、沢木 哲、児玉真菜、北原ヨリ子、中村太一、吉岡麻由子、大沢たかお、稲森いずみ、市川実和子、山内秀一 他

  

STAFF

監督/脚本:岩井俊二   音楽:小林武史

原作:

  

STORY

田園が美しいとある地方都市。中学2年の蓮見雄一(市原隼人)の一家は実の母と新しい父親とその連れ子の弟との3人家族。学校ではいじめを受け、窒息しそうな毎日。そんな雄一にとって、リリイ・シュシュだけが「リアル」。自分の部屋に閉じこもり、自ら主宰するリリイ・シュシュのファンサイト「リリフィリア」の中だけが、本当の居場所。[フィリア]というハンドルネームの「リリフィリア」の中で、[青猫]と名乗るリリイファンと知り合い、心を通わせていく。


1999年。13才。
リリイすら知らなかった時代。それは雄一にとってはバラ色の時代だった。中学生になった雄一は、鮎小学校の児童会長だった星野修介
(忍成修吾)と同じクラスになる。新入生代表で答辞を読み、勉強も出来る。そんなスーパーマンのような星野と雄一は同じ剣道部に入ったことで仲良くなる。ある日、剣道部の仲間たちと野球の応援に行った雄一は、その帰り、駅のホームで久野陽子(伊藤 歩)の存在を知る。夏になり、剣道部では3年生が引退。厳しい練習にへとへとになる雄一たちは、みんなで沖縄旅行に行こうと計画する。秋葉原でカツアゲした不良たちから金を奪い取り、晴れて西表島に旅立った。南の島での夏休みを満喫する少年たち。しかしそこで星野は溺れかけ、旅で出会った学生の交通事故を目撃し、旅の終わりは何か不穏な空気が立ちこめたのだった。
新学期。少しだけ大人びたクラスメートたち。そしてクラスの中で一番ガラの悪い犬伏
(沢木 哲)を殴り倒したことがきっかけとなって星野は豹変した。クラスの飯田と辻井を子分に従え、すっかり人が変わってしまった星野は、剣道部にも顔を出さなくなる。そして雄一は星野のイジメの対象になってしまう。


2000年。14才。
2年生になった今でも、ひったくりや万引きをしては星野にお金を上納する雄一は、ある日星野から新たな仕事を言いつけられる。それは同じクラスの津田詩織
(蒼井 優)を尾行するというもの。そこで雄一が知ったのは、津田が星野に援助交際をさせられているということだった。以来、津田の見張り番として行動を共にするようになる。

雄一にとって息の詰まる学校生活での唯一の光。それは2年生になって同じクラスになった久野陽子の存在だった。成績も良く、ピアノの腕前も学校一の久野は、男子からの人気も高い。ちょうど学校では、校内の合唱コンクールを控えていた。久野の存在が面白くない神崎すみか
(松田一沙)を中心とする女子一派は、久野に反発し練習をサボる。学級委員長の佐々木健太郎(細山田隆人)は困惑するが、久野からアレンジを変えた課題曲の譜面を渡される。それはピアノなしバージョンのアカペラでの合唱だった。久野がピアノを弾かないことで納得した神崎一派たちも参加し、合唱コンクールは成功した。しかし、その編曲をしたのが久野だったことに、更にムカつく神崎。そして星野は・・・。かつて新入生代表として答辞を読んだその場所で、自分の居場所を見出すことも出来ない。
真空のような孤独。窒息しそうな毎日。
やがて雄一にとってはあまりに耐え難い現実が待ち構えていた。

「死のうと思いました。でも死にきれなかった。」 パソコンに向かい、心の痛みを吐露する[フィリア]「あなたの苦しみは自分にも分かる。何故なら、自分もあなたと同じ痛みの中にいるから」そう言って慰める[青猫]。

12月8日。
雄一は、リリイ・シュシュのライブが開催される、渋谷キャトルへと向かった・・・。

  

IMPRESSIONS

見終わって、しばらくは誰とも口を利きたくないと思いました。見ている間も、全神経を傾けていたような気がします。この映画で描かれている思春期の少年・少女たちのどうしようもない痛みや怒りややりきれなさは、大人になってしまったわたしにも充分伝わってきました。でもそんな若さが随分遠いモノのようにも感じます。羨ましいとさえ思ってしまったのは、やっぱりもう戻る事のできない時代への憧れでしょうか?

「痛い」っていう感想をよく聞きます。表現する言葉をあれこれ捜したのですが、この言葉がいちばんしっくりくるんですね。痛くて切なくって哀しくって愛しい映画です。

体当たり演技の市原くん、忍成くん、蒼井優ちゃん、伊藤歩ちゃん、それに沢木くんもまさに体当たり!みんなそれぞれホントに頑張っていたと思います。忍成くんの中学1年生も全然違和感なかったですし、いつもながら、それぞれのキャラクターが魅力的で、さすが岩井俊二!

ほとんど足利市で撮影されたようですが、あのどこまでも続く田園風景と、圧倒的なリリイの音楽は、かなりこたえました。ライブ会場の外で、リリイの映像が映し出されるスクリーンの前にポツンと佇む雄一がかわいそうで、思わず抱きしめてあげたくなりました。監督は「遺作にしたい」と言っていたそうですが、それくらいのめり込んで作ったのもわかる気がします。多分賛否両論、受けつけない人もいると思いますがハマると私のように、とことんって感じでしょうね。

  

MARKING

★★★★★

 

 

 


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